夏目漱石の美術世界展 ― 2013年05月31日

夏目漱石の美術世界展
東京藝術大学大学美術館へ特別内覧会に行きました。
写真は美術館より特別な許可を得て撮影・掲載をしております。
漱石の文章に登場してくる作品がたくさん見られる展覧会です。
ウォーターハウスも見られるということなので楽しみにして行きました。
印象に残った作品の感想です。
序章 「吾輩」が見た漱石と美術
橋口五葉[装幀]
『吾輩ハ猫デアル』下編
1907年
水を飲んでる猫がかわいい。優雅で品があります。
橋口五葉
『吾輩ハ猫デアル』上編 ジャケット画稿
1905年
線が繊細なんだなあとよく分かってうれしい。
オリエントな雰囲気。エジプトの神さまみたい。
文字もすてきにデザインされています。
橋口五葉の絵やデザイン、文字、大好きです。
おしゃれ。どれもすてきでワクワクします♪
第1 章 漱石文学と西洋美術
漱石の文学作品ごとに展示されています。
話をよく知らなくても大丈夫、絵画の横に解説や漱石が書いた文章もちゃんと貼ってあります。よかったぁ。漱石読んだのだいぶ前なのでうれしいです。
まず絵を見て、次に解説や漱石の文章を読みました。漱石と一緒に鑑賞しているみたいでとても楽しかったです。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
シャロットの女
1894年
強い目。こちらをにらんでいるよう。迫力があります。
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
レディ・リリス
1867年
きれいな髪にうっとり。ふわふわ。つやつやです。
見とれちゃう。魔女なんですね。
魅力的な女性たちです。
『ステューディオ』(1898 -99 特別号冬)
1898-99年
イギリスの美術工芸専門雑誌。
漱石は帰国後もこの雑誌を取り寄せて定期購読していたそうです。
こういうところからもインスピレーションを得ていたのかな。
第2 章 漱石文学と古美術
俵屋宗達
禽獣梅竹図
17世紀
うさぎかわいい。
谷文晁
富士山群鷺之図
19世紀
線がきれい。富士山の稜線がすーっと印象的に描かれている。
渡辺崋山
黄粱一炊図
1841年
「こころ」で「先生」によって語られてるのがまさにこの作品だそうです。
崋山の絶筆。
「こころ」の「先生」の話と崋山の現実とが混ざって、作品を目の前に少し緊張しました。
伝王淵
蜻蜒図(唐絵手鑑《筆耕園》のうち)
13世紀
繊細な線です。
酒井抱一作《虞美人草図屏風》の推定試作が展示されていました。本当にあったか分からない作品。漱石の文章に出てくる通りに作ってみたそうです。楽しい試みだなあと思いました。
第3 章 文学作品と美術 『草枕』『三四郎』『それから』『門』
長沢蘆雪
山姥図
18世紀
確かにすごい形相です。
2点若冲の鶴図が並んで展示されていました。
伊藤若冲
鶴図
1793年
すーっと伸びた足。線が流暢でさすが若冲です。
若冲大好きです。漱石が草枕で若冲をとてもほめているのがうれしいです♪
鏑木清方
秋宵
1903年
すてき。好きです。
女学生のぷくっとして少し開いた小さな唇がかわいい。
空を見つめて集中して練習しているのがわかります。
清潔感のある雰囲気もいい。鏑木清方の女性はいいなあ。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
人魚
1900年
上半身の裸より、魚の部分に目が引き付けられました。下半身の鱗がなまめかしい。
ファム・ファタール、「運命の女」のイメージかな。
文章に登場してくる女性といい、漱石はそういう雰囲気の女性像を魅力的に感じたのかなあと思いながら見ました。
「三四郎」の原口画伯作《森の女》の推定試作もありました。
第4章 漱石と同時代美術
夏目漱石
『文展と芸術』原稿
1912年
漱石の直筆の原稿。見られてうれしかったです。
萬鉄五郎
田園風景
1912年頃
生気があっていいなあと思いました。ゴッホの筆致、影響がそのまま見られます。
青木繁
自画像
1904年
大きい目。暗い中から光ってこちらを見やっている。
強い画家としての自負が表れているようです。
光の当たり方などドラマチックに自分を演出しています。
楽しい展覧会でした。漱石の紙面からそのまま現実の美術館に出現したみたい。
ありがとうございました。
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夏目漱石の美術世界展
会期: 2013年5月14日(火)- 7月7日(日)
午前10時 - 午後5時 (入館は午後4時30分まで)
休館日: 毎週月曜日
会場: 東京藝術大学大学美術館
東京新聞:夏目漱石の美術世界展
東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts
巡回展
2013年7月13日(土)- 8月25日(日)
静岡県立美術館|Shizuoka Prefectural Museum of Art
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