貴婦人と一角獣展2013年07月13日

国立新美術館


フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣展


国立新美術館へ行きました。



フランスの至宝が初来日です。
《貴婦人と一角獣》は西暦1500年頃の6連作のタピスリーです。
6面とも見られるなんて、なんて幸運なんでしょう♪ とても楽しみ。
秘められた謎も魅力です。





展示室にはいって、わあ~と心がわきました。
円形の大きな空間にぐるっと6面のタピスリー。
赤色が美しい。華やかな空間です。
すてき。





《貴婦人と一角獣》
下絵:パリ
製織:南ネーデルラント、北フランス、もしくはパリ
1500年頃
下絵は「アンヌ・ド・ブルターニュのいとも小さき時禱書の画家」と呼ばれる芸術家と推測されています。
赤い色が印象的です。きれい。
貴婦人がみなファッショナブル。当時の装いも分かって楽しいです。とても華やか。 動物たちがたくさん登場していてかわいい。特にうさぎがどれもかわいいです。うさぎは多産の意味があるそうです。


貴婦人のしぐさの意味を考えながら見たり、 織物としての細かさに注目してみたり、 また動物や植物などのモチーフを取り上げて観察してみたり、 ずーっと見ていてもいろんな発見があって楽しい。





《触覚》
髪と上半身にがしがしに宝石が付いてる。 ベルトから下がる装飾が鎖のよう。 猿の首輪と重りをつなぐ鎖と同じ形で呼応している。
全体に凝り固まっているような、固い印象。





《味覚》
全体に柔らかく華やか。ゴージャスです。
貴婦人のヘアバンドのような髪飾りもすてき。衣装が豪華です。黄金の刺繍が目を引きます。 貴婦人の顔も気品あるように見えます。
貴婦人と侍女のブロンドの表現が繊細です。風になびく髪のヴェールも軽やか。織物なんだと思いだしてその技術の高さに改めて感服します。
バラの生垣が華やかでかわいいです。円形のステージのようで立体感があります。
獅子と一角獣は後ろ脚のみで立って勢いがある。こっちを見てる一角獣がかわいいな。
6面の中でこのタピスリーが優雅に感じて好きだなあと思いました。





《嗅覚》
ナデシコの花冠作りに没頭する貴婦人。とても集中してる様子が伝わってきます。
全体にさっぱりしている印象を受けました。





《聴覚》
オルガンの演奏に夢中になっている若い貴婦人。青いドレスと襟ぐりの大きい外衣をまとっています。オルガンは東洋風の敷物の上に置かれている。
縦長な構成。貴婦人と衣装とオルガンとその下の敷物に目が行きます。
獅子も一角獣もおとなしい。小動物は装飾的配置の印象。
オルガンの上の端、向こう側に獅子、こちら側に一角獣が付いていて、かわいい!
貴婦人が穏やかで利発そう。表情が繊細です。髪型が個性的だなあと思いました。当時の流行なのかな。ぐるっとひねって前頭部へ持ってきてねじり上げています。衣装は袖の青がグリーンがかっていて深くてすてき。絨毯のようなドレスの刺繍!豪華、金も光っています。
オルガンを置いてる東洋風の敷物は質感が違っていて、織物の中の織物を見ているんだなあと思うと不思議な感覚になりました。





《視覚》
ユニコーンがメインに感じます。大きく堂々といきいき描かれています。一角、大きな瞳、前脚は貴婦人のひざの上でスカートをめくって戯れている。一角獣の体がリアル、しっぽが上向きに動いてる。鏡の中の一角獣のかわいい顔。小動物たちは和やかです。
獅子は周囲を見張っているのかな。ちょっと自分は見ちゃいけないって感じでふたりから目をそらしてる感じもします。





《我が唯一の望み》
まず天蓋に目が行きました。天蓋の模様がたましいのよう。一面に描かれている淡いオレンジベージュの模様は、上に行くほど小さく、間隔が狭くなります。だから、ぐーっと昇っていくように見えます。途中にことば、そして集約されててっぺんの紋章の旗へ向かっているよう。
貴婦人は首飾りをとって箱にしまってるところに見えます。
犬が貴婦人のすぐ目の前、わざわざ敷物を敷いた椅子に座っています。味覚の時みたいに貴婦人の後ろ、ドレスの裾の上から見上げて遠い感じではないです。犬は貞淑を意味するのかな。




ここにある五感は俗なもの、おぼれてはいけないものなのかな。
それで、6枚目。それらの俗っぽいもの、飽食や贅沢や享楽に溺れることなく、貞淑に堅実に心持高くあってほしい、という願いなのかなと思いました。結婚祝いのために作ったものだろうから、愛するお嫁さんには高尚な精神や心でいてほしいという想いを表現しているように感じました。




面白いな。きれいで細かくて。楽しかった♪


動物や植物をパネルで抜き出しているコーナーもありました。描かれている植物もよくわかります。 野生の花々、マメ科のソラマメやエンドウ、栽培用のジャスミン、ナデシコなど40種を数える植物がタピスリーにはあるそうです。驚き!






その他のいいなと思った作品です。





《ベルト》
ライン川上流域(バーゼル?)
1520-1530年頃
豪華、すてき! 花と植物のモチーフです。細かい作り。垂れ飾りもあります。タピスリーの貴婦人と一緒だ♪ 宝石もたくさん付いている。 優雅だなあ。





《指輪》
フランス
15世紀
金の指輪。「いつまでも一人の女(ひと)を」という銘文が刻まれています。
いいな。すてき。





《印章付き指輪》
イタリア
1400年頃
高位聖職者のものだそうです。
縦長の八角形。デザイン的にも洗練されてる。すてき。





連作タピスリー《領主の生活》より:
《恋愛の情景》
ネーデルラント
1500-1520年頃
複数の人物集団を組み合わせた複雑な構成です。
面白い。人々や事情が折り重なっているみたい。






貴婦人と一角獣以外にも立派なタピスリーを数点みることができました。 どれもとても高度な技術です。

そしてやっぱり貴婦人と一角獣は美しい。何が特別なんだろう、と考えました。
赤が効いてる。デザイン化されてまとまってる。
連作もすばらしい。そして6枚目の神秘性。ストーリーがあるからすてきなんだろうな。 そこに想いがある、と憧れ感もある。

同じものを見ていても、わたしだけの解釈、わたしだけのタピスリー、がそれぞれの心のなかに出来るのかもしれない。 見た人々の心の中でいろいろな形に自在に膨らむから、多くのひとの心に残るのかなと思いました。






とてもすてきなタピスリー。
ほんとに見に行ってよかったです。楽しかった。

すばらしい機会を作ってくださったことに感謝します。




貴婦人と一角獣展 | 国立新美術館(東京・六本木):2013年4月24日(水)~7月15日(月・祝) | 国立国際美術館(大阪・中之島):2013年7月27日(土)~10月20日(日)


国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

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